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ことばは記号に過ぎない。英語も日本語もマオリ語も、ことば自身は記号だ。

例えば、いいものを○、悪いものを×、どちらでもないものを△という記号で表現するのと同じように、いいものを「いい」、悪いものを「わるい」、どちらでもないものを「どちらでもない」と日本語という記号で表現するのも、記号という意味では同じだ。そもそも、いいものを「いい」と表現せずに、「ぽこぽこ」と言ってもいいわけだし、英語では「Good」などと表現するし、いいという状態をどう表現しても、本来はいいのだ。たまたま日本語では「いい」と言い、英語では「Good」というだけだ。つまり、ある状態やもの、動作などを表現するのに、世界の違う場所で、それぞれの言葉という違う記号を使っているというだけのことだ。

この部分だけ考えれば、言葉の違いは、単に使っている記号の違いと言える。

けれども、言葉はコミュニケーションの道具で、コミュニケーションには送り手と受け手が存在する。そして、我々が言葉という記号を使ってコミュニケーションをとる時、その記号に必ず何らかの付加価値をつけている。

例えば、「昨日ハイキングをしていたら、白い花が咲いていた。」とA君がBさんに言う時、A君は「白い」という言葉=記号に自分なりのイメージ=付加価値=情報を乗せてBさん宛てに発信する。A君は自分で見た花を「白い」と感じ、その見たままのイメージ=付加価値=情報を、「白い」という言葉=記号に付加してBさんに伝える。A君から発せられた「白い」という記号はA君がイメージした情報をまとってBさんのところに届く。

ところが、Bさんがまず受け取るのは、「白い」という言葉=記号だけだ。そこには、A君がその言葉=記号に乗せたはずのイメージ=付加価値=情報はない。なぜなら言葉は単に記号だからだ。Bさんが耳にするのは「白い」という記号だけだ。

でも、ややこしいことに、更にそこでBさんは、その受け取った「白い」という記号に、Bさん自身のイメージ=付加価値=情報を乗せて理解しようとする。

そしてここで、厳密に言えば、A君が伝えようとした「白い」花と、Bさんが受け取った「白い」花のイメージ=付加価値=情報はおそらく異なっているだろう。その違いは小さいものかもしれないし、ひょっとしたら大きく異なるイメージ=付加価値=情報かもしれない。もし、そのイメージ=付加価値=情報の違いが大きい場合、次の日Bさんが同じ場所をハイキングしても、「白い花なんて咲いてないよ。咲いているのは薄い黄色の花だ。」ということも起こりえる。

こう考えると、いつも日本語という言葉=記号で友達や家族や同僚などとコミュニケーションをとっているけれど、実は、自分が伝えようとしている意味=言葉+付加価値と、相手が受け取って理解している意味=言葉+付加価値は厳密に言えば違うし、違っていて当たり前だ、ということになる。皆、普段は意思疎通ができていると思っているのは、自分が発した言葉と相手が受け取る言葉に、付加されている情報に大きな違いがないからだ。

それでも、たまに、「私はそういうつもりで言ったのではない。」などと友達とケンカになったりするのは、言葉に付加している、送り手と受け手の付加価値の違いが大きかったからだと言えるだろう。逆に、熟年夫婦が、「あれは、なにですね」で分かり合えるのは、送り手と受け手両方が、それらの言葉に付加されている情報を同じものとして理解しているからだろう。

つまり、記号である言葉はもちろん大切だが、そこに付加されている情報=付加価値を、送り手と受け手の両方がどれだけ差異なく理解するかということも、コミュニケーションをスムーズに行うには非常に大切だということになる。

では、日本語を母語とする人が、英語で、例えばニュージーランドの人々とスムーズにコミュニケーションをとるにはどうすればいいのだろうか。それは単に、英語という記号の使い方や、それぞれの言葉=記号の意味を理解すればいい、というわけではないことは明らかだ。ニュージーランドで英語でコミュニケーションをとる時には、必ず送り手は彼らの付加価値をその言葉につけて送ってくる。その付加価値をできるだけ理解しないと、言葉=記号の意味だけではうまくコミュニケーションができないだろうし、自分が送り手となった場合も同じだ。

そして、その英語という言葉=記号に乗っかってくる付加価値を、コミュニケーションの受け手としても送り手としても理解してこそ、コミュニケーションがスムーズに行く。つまり、言葉+付加価値=意味を理解してコミュニケーションをするということだ。

記号である言葉だけではなくそこに付加される情報も含めて意味として理解するためには、やはり英語という言葉だけを学んでいるのでは限界があるだろう。英語を使う人々の生活を経験し、そのバックグランドに触れて、一つ一つの言葉についてくる情報を実際にコミュニケーションの場で何度も体験してこそ、意味=言葉+付加価値を理解し、コミュニケーションをスムーズに行うことができるのではないかと思う。