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最も古い自分の記憶は何歳頃のことですか、という質問を、会話の楽しみとしていろんな人に対して、たまにする。
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たいていの人が、4歳とか5歳とか答える。3歳よりも前の記憶はないという人がほとんどだ。たまに、2歳の時、下の兄弟姉妹が生まれたときのことを覚えているとか、赤ん坊の時お風呂に入れてもらったときのことを覚えているなどという人もいるが、多くはない。最近、昨日の夕食の献立をなかなか思い出せない私でも、4歳の時、家の前の空き地で遊んだ記憶ははっきりと残っている。

うちにも3歳の娘がいる。いろんなところに連れて行ったり、一緒に遊んだりしたときに、大きくなったとき今日のことは覚えていないのだろうな、と思うことがある。

なぜ多くの人は3歳とか4歳以前の記憶がないのだろう。

3歳の娘を見ていて思うのは、この年齢では、まだ「時間」の感覚がほとんどないということだ。「明日は幼稚園お休み?」と娘は聞くが、明日がいつなのかはどうもわかっていないようだ。今日と明日の違いが理解できていない。そして、朝、幼稚園に行くときに、時計の針が一番下に来たら出発するということはわかっているのだが、時計の針が2のところにある現在から下に来るまでに、どのくらいの時間がかかるのか、その時間内にどのくらいのことが出来るのか、ということはわからない。つまり、「時間」という概念がないし、「時間」を感覚的に捉えることが出来ていない。

おそらく、1分後や80年後の未来とか、朝起きたときや生まれたときの過去とか、そういうことを考えたこともないのだろうし、考えるすべも知らないのだろうし、考える力も持っていないのだろう。

時間の感覚を持たないで生活している、というのは、大人とは全く違う。頭の中はどうなっているのだろうか。いつも何を考えて生活しているのだろう。もし娘の頭の中を経験できるのなら、一度してみたいと思うくらい興味がある。

そして、最も古い記憶について。

私が一つ考えるのは、時間の感覚がまだない、時間というものを感覚的に捉えることができていない年齢の時の記憶は、大人になったときには残っていないのではないかということだ。過去を振り返ったり、未来を見つめたりする、その行為によって、人は記憶を自分の「時間」という感覚の中に取り入れて保存することが出来るのではないかと思う。まだ、時間という感覚が出来上がっていない年齢では、記憶を保存する場所とシステムがなく、それゆえに、記憶が残らないのではないかと思う。