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最近日本の情報を見ていると、ブラック企業という言葉をよく目にする。

ウィキペディアを見てみると「近年では労働法を無視、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働を強制する企業を主に指す」と書かれてあるが、きちんとした定義はどうもまだ定まってないようだ。

ニュージーランドでもいろんな企業はあるのだろうが、基本的には雇用契約書を交わすことで雇用者と労働者との間に雇用内容に対して同意が成立しているので、簡単に言えば、雇用契約書に書かれてあるとおりに雇用されていれば、問題は無い。言い換えれば、雇用について何か問題が起こったときにはまず、雇用契約内容を確認するところから始まる。

ニュージーランドのその感覚からすると、ブラック企業と呼ばれているところでの雇用契約はどうなっているのか、と考えるのだけれど、そもそも雇用契約通りに進まないからブラックと呼ばれるのだろうし、ニュージーランドと違って契約の概念が弱い日本では、雇用契約自体結ばれていないことも多いだろう。

ただ、ブラック企業と呼ばれる企業にも言い分はあるだろうから、「悪いことをしている人達の言うことなど聞くことはない」というのはフェアではないだろう。

例えばもし、ブラック企業と呼ばれている全ての企業が、今日から、労働法通り雇用契約通りに労働者を雇用したらどうなるだろうか。全ての残業代が支払われ、全ての有給休暇の消化が認められ、十分な人員が配置され、労働者の健康と安全に最大のコストがかけられ、福利厚生が充実し、様々な面での労働環境が一定のレベルにまで上げられる。

結果、労働者は働きやすくなり、求職者も増えるだろう。ひょっとしたら優秀な人材が集まるかもしれない。企業の社会的イメージは高くなり、それに伴って商品イメージも上がるかもしれない。

一方で、今までかけられていなかった部分に大きなコストがかかり、その分利益が減少する。それを補うために商品価格が上昇する。また、残業が減り有給休暇が増えることで、他の企業やステーキホルダーとのコミュニケーションに遅延が生まれるだろう。時間もコストだとすれば、その分も商品価格に上乗せされるかもしれない。

労働法に限らず、企業が法律を遵守することは当たり前のことだし、企業倫理も高く持つことが必要だ。でも、それが企業に求められる一方で、安くて早い商品やサービス、24時間365日の対応を求める消費者もいる。それが両立する職種が果たしてどれくらいあるだろうか。

社会の中で、企業だけが独立してあるのではないし、消費者だけ、労働者だけが単独で動いているわけではない。これから日本がどのポイントでバランスを取っていくのか。ブラック企業と言われる企業を通して、それを考え、明確にしていく必要があるのだと思う。