便利でも安全でもないけれど

ニュージーランドは冬真っ盛り。朝も寒いし、昼間曇ったり雨が降ったりするとまた寒い。

ニュージーランドの暖房は、最近はHeat Pumps (ヒートパンプ)と呼ばれる、いわゆるエアコンがどんどん増えてきているけれど、まだまだ暖炉や薪ストーブで暖を取っているお宅も多い。

新しく家を建てる人でもあえて暖炉を備え付けることもあるし、いろんな事情でHeat Pumps をつけた人でも、やっぱり冬は暖炉がいい、と言う人も多い。

暖炉は、中に薪をセットして、それに火をつけて燃やし、薪が燃えて温度が上がったら暖炉の内側が熱くなり、その後暖炉の外側の温度が上がって、それからやっと部屋の空気が暖まる。ものすごく面倒くさくて時間がかかる暖房器具だ。

薪も、売っている業者さんから買う人もいれば、自分で木を切って薪にする人もいる。どちらにしても、薪を割ったり、薪置き場に積み上げるのは自分の仕事だし、切ってすぐの薪は乾いていなくて使えないので、一夏、つまり半年以上置いて乾かすこともある。暖炉のセッティングも毎日やらなければならないし、庭の薪置き場から部屋に薪を運ぶのも冬の日常の一つだ。

暖炉は薪を入れるところは必ず熱くなるので、ちょっと触るとやけどをするし、部屋の中で火をがんがんに燃やしているのだから、火事になるリスクも高い。Heat Pumps なら、触ってもやけどをすることはないし、火も出ないので火事の心配もない。暖炉よりもはるかに「安全」で「便利」だ。

こんな、危険で不便なこともある暖炉だけれど、その人気は根強い。スイッチ一つで得られる快適さと引き替えに失われたものが、そこにあるのだと思う。

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