いとしのトゥアタラ
ニュージーランドに、Tuatara(トゥアタラ=ムシトカゲ)という固有の生き物がいる。
ウィキペディアによると、「トカゲと名付けられてはいるが、狭義のトカゲ(有鱗目トカゲ亜目)とは全く異なる系統の爬虫類であ」り、「現生で最も特殊化していない有羊膜類である。脳や移動方式は両生類に似ており、心臓は他の爬虫類の中で一番原始的である」と書かれている。
生物学的なことはよくわからないけれど、ニュージーランドでも限られた地域にしか生息していない絶滅の危機に瀕している生き物だ。見た目はトカゲの少し大きいやつで、恐竜をほうふつとさせる雰囲気がある。
寿命は100年を超えるそうだ。おそらく、昼間はじーっとして動かないからだろう。あれでは、生きていくのにほとんどエネルギーを使わないと思う。
ロトルアのレインボースプリングスという自然公園で見たことがあるけれど、ほんとうに、じーっとして動かない。ずっと見ていると、「じーっ」という音が聞こえてくるくらいに「じーっ」としている。
私はトゥアタラに言いたい。君はそれでいいのか?と。じーっと動かずにいて、100年以上生きる。エネルギーをできるだけ使わずに毎日過ごして、長生きする。
そんな生き方でいいのか、トゥアタラ?
もっと他の世界を見てみたくないのか?もっといろんな人と出会って、いろんなものを食べて、いろんな経験をしてみたくないのか、トゥアタラ?
彼らは何のために生まれて、何のために生きているのか。
そんなことを考えながら、トゥアタラを眺めていると、なんだかいとおしくなってくる。
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