様々な国籍や文化的バックグラウンドを持つ学生が集まって勉強をしている

ニュージーランドに留学する前、ニュージーランド人の中にポツンと一人、自分が入っている、というイメージをなんとなく想像する人も多いだろう。

だが、実際にニュージーランドに留学に来て、語学学校、高校、ポリテク、専門学校、大学などに行くと、その想像がやや違っていたことに気づく。

語学学校には当然のことながら、ニュージーランドで生まれ育ったニュージーランド人は学生としてはいないだろう。ニュージーランドの語学学校に通っている学生の多くは、英語を母語としない国から来た学生たちだ。

小学校や中学、高校にはニュージーランド人がやはり多いが、アジアやフィジー、トンガそして、ヨーロッパなどからの留学生もいる。また、両親を移民に持つニュージーランドで生まれた学生や、幼い頃にニュージーランドに他国から移住してきた学生も、多くの小中高校などに在籍している。ロトルアボーイズハイスクールを昨年に卒業した、世界アマチュアゴルフトップのダニー・リー選手も、8歳のときに韓国から家族で移住してきた。

ポリテク(ポリテクニック=Polytechnic)や専門学校になると、学校や専攻によっては、20%~30%近くがニュージーランド以外の国から来た留学生だったり、一つのクラスを5つくらいのグループに分けたとき、各グループに一人くらいは留学生やニュージーランド以外の国籍や文化的バックグラウンドを持った学生がいたりする。

留学前に抱いていたイメージのようにニュージーランド人の中にポツンと一人自分が入っているというのではなく、一つのクラスの中に様々な国籍や文化的バックグラウンドを持つ学生が集まって勉強をしている、というのが現実だ。もちろん、先生もニュージーランド人だけではない。

「ニュージーランド人の中に私という留学生が一人」というイメージを持っている学生にとっては意外だと思うが、私は、このいわゆる「マルチカルチャー」の環境は留学生にとってとてもすばらしい環境だと思う。

もともとニュージーランドはマオリとパケハ(ヨーロッパ系の人たち)という2つのカルチャーを持つ「バイカルチャー」の国だ。お互いの文化や考え方をそれぞれが尊重しあって国を作ってきた歴史がある。その土壌に、1990年代にアジアなどから多くの移民が入ってきたりして、今では複数の文化を持つ「マルチカルチャー」の国となっている。

だから、ニュージーランドには、自分と違う文化を持った人、自分と違う考えを持った人、自分と見かけが違う人、自分と違うことばを話す人などに対して、まず何とかして受け入れようとする姿勢が見られる。そして、マルチカルチャーの国に留学して来た以上は、留学生自身も、自分が受け入れられることを望むだけではなく、自分と違う人を積極的に受け入れようとすることが求められる。

留学して教室に入れば、異文化、異国から来た自分という留学生以外にも、中国人、インド人、韓国人、フィジー人、アラブ人、そしてもちろんニュージーランド人などたくさんの学生がいる。中には英語がネイティブなみに話せる人もいるが、持っている文化的バックグラウンドはニュージーランド人とは違うことも多い。そして、それらの人たちが一つのクラスで授業を受ける。ニュージーランドの学校では、小学校、中学校、高校でさえも、受身の授業ではなく、クラスメートと共同して作業を進めたり、話し合ったりすることが多い。その中で、文化の違いや考え方の違いが浮き彫りになることもある。そして、それによって、世界には、様々な人たちがいて、様々な考え方があって、それをどのようにしてまとめていくか、あるいは、他のゴールを探すか、どこかで折り合いをつけるのか、ということを、身をもって学んでいく。

これこそ、個人レベルでの国際化の第一歩、ではないだろうか。日本で生まれ育った留学生も、ニュージーランドの学校に留学すれば、様々な人たちと出会い、日本では考えなかったことを考え、ニュージーランドだけではなく世界には様々な人達がいることを、いろいろな経験から学ぶことが出来る。そして、留学生活が長くなると、それがあたりまえになってくる。

その感覚こそ、これから世界で活躍する若い人たちに求められるものだと思うし、世界の壁を個人レベルで越えていく力になるのだと思う。

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