必ず一つの正しい答えが返ってくるとは限らない

弊社の留学生には、自分で考える態度を身に付けてほしいと思っている。

ニュージーランドでは、いろんな場面で「あなたはどう思うの?」とか「あなたはどうしたいの?」と聞かれる。留学生も例外ではない。

例えば、高校留学生が、明日までの数学の宿題が提出期限に間に合わない場合、先生のところに行って「明日までに提出できません」と言ったとする。先生は「わかりました。で、あなたはどうしたいのですか?」と聞いてくる。その時「3日間待ってもらえれば必ず提出しますので、期限を3日間延長してもらえませんか?」などと言うことが求められる。

また例えば、学校の昼休みに体調が悪くなった場合、次の授業の先生のところに行って「体調が悪いんです」と言ったとする。先生は、「わかりました。で、あなたはどうしたいのですか?」と聞いてくる。その時「次の授業時間はスクールナースのところに行って診てもらって、授業に出てもいいと言われれば途中から入室しますし、休んでおきなさいと言われれば次の授業が終わるまで休んでいます」などと言うことが求められる。

日本からの留学生、特に留学一年目の留学生などは、「明日までに提出できません」とか「体調が悪いんです」などと言えば、後は周囲の大人が考えて判断して、こうこうしなさいと指示を出してくれると思っている人が多い。だからニュージーランドで、そういう言葉を発した後に自分がどうしたいかを問われると、とても戸惑う。

簡単に言えば、自分のことにもかかわらず、自分で考えようとする基本的な態度ができていない。何かひとこと言えば、周囲の人が後は全てやってくれる、あるいは、何か的確な指示をしてくれると思って疑わない。

もっと言えば、自分の状況を簡単に説明したり、自分のことについて何か質問をすれば、必ず「一つの正しい答え」が返ってくると信じ切っている。そして自分はその答え通りに行動すれば問題ない、と思っている。つまり、自分のことにもかかわらず、自分で考える前に、周囲の人達に答えを求め、与えられた答え通りに行動することが当たり前になっている。

そんな留学生達がニュージーランドでの生活を通して、自分が何かを聞いたり伝えたりしても、一つの正しい答えが返ってくることはなく、自分のことは自分で考えることが求められる、ということを、いろんな経験から理解していく。

だから、自分で考える態度を身に付ける最初の一歩は、誰かに何かを尋ねたとき、一つの正しい答えや指示が必ず返ってくるという固定観念から、まずは自由になることだと思う。

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