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先日、語学留学をしている学生さんと英語の発音の話になった。いろいろ話をしたが、「どの発音を目指せばいいのか」というのが大きな話題だった。

ニュージーランドで長く暮らしていると、実に多種多様な英語の発音に接する機会が多くなる。ニュージーランドで生まれ育ったヨーロッパ系の人たちと、マオリの人たちの英語の発音はやはり違うし、イングランドから移民してきた人たちとアメリカ移民の人たちとはまた発音が違う。中国系の人、韓国系の人、インドからの移民、日本からの移民、オーストラリアで生まれ育った人、自分はニュージーランド生まれだけれど両親がスコットランド移民だという人、それぞれが違う英語の発音をする。当たり前と言えば当たり前だ。
そして、こういう当たり前の状況の中で暮らしていると、どの英語の発音が正しくて、どの発音が間違っているなどという考え方が通用しなくなってくる。英語の発音も人それぞれで違っていて当たり前で、みなそれぞれの発音で会話し生活している。日本人留学生がよく考えるように、英語を学ぶにあたって、正しい発音というのが一つか二つ存在して、英語学習者は皆それに向かって発音を矯正するよう努力しなければならないし、世界中の人たちが、同じように英語の発音を勉強している、というのは、現実と少しばかり違うように思う。

ニュージーランドの公用語は英語とマオリ語で、日常生活では英語を使って生活している人が多い。そして、マオリ系の人はマオリの英語の発音で、中国系の人は中国系の英語の発音で、インド系の人はインド系の英語の発音で会話し、日常生活を送っている。それで問題はない。例えば、ワイアリキポリテクニックのビジネスの先生の中にはインド系の先生もいて、英語の発音はイングランド人やアメリカ人、中国人、オーストラリア人などと明らかに違う。でも、その先生は、オーストラリアの大学でMBA、MPAを取得し、イギリスの大学で教育の資格も取っている。授業を受けているのはほとんどが地元ニュージーランドの学生だ。何の問題もない。

日本語に関して言えば、標準語という「正しい」日本語と発音が存在していて、それ以外の発音や言葉は「正しくない」というように捉えられていることも場合によってはあるように思う。学校の教科書で習う日本語、NHKのアナウンサーが話している言葉、これらが唯一正しい日本語で、大阪弁や京都言葉、東北の人が話す発音などは、標準語と並列で存在するのではなく、正しくない日本語、標準語より一段下の言葉のように捉えられていることもあるように思う。同じ日本語でただ「違い」があるだけなのに、その中の一つが「正し」くて他が「正しくない」という捉え方。その延長線上にあるのが、「英語の正しい発音というのが一つか二つ存在して、英語学習者は皆それに向かって発音を矯正するよう努力しなければならないし、世界中の人たちが、同じように英語の発音を勉強している」という考え方なのだと思う。

そういう私も、ニュージーランドに来るまでは、「アメリカ映画で俳優がしゃべっているような発音で話したい」と考えていた。でも、ニュージーランドで長く暮らしていると、その必要性をあまり感じなくなった。日本語という母語に影響された英語の発音でいいじゃないか、と自信を持って会話ができるようになった。発音に自信がないから英語で会話をするのを躊躇する、という気持ちもわかるが、発音を気にするよりも積極的に会話をすることのほうがよっぽど重要だと思う。

スカイテレビのニュースチャンネルには、Sky News、CNN、Fox、BBCなどのチャンネルがあるが、連続して全てのチャンネルを見るとわかるけれど、それぞれの放送局で使われている英語の発音もそれぞれで違う。それで世界中に番組を放映しているし、世界中の人がそれらの放送を見ている。

語学学校で発音を教えてもらうのはそれでいい。できるだけ教えてもらう発音を使えるようになるといいと思う。でも、英語を勉強するにあたって、あまりにも発音を気にしすぎると、「英語を使って会話や読み書きができるようになる」という最終目標になかなか到達しない。発音の勉強をおろそかにすることを勧めているのではないが、英語をコミュニケーションの道具として世界の人と意思疎通がしたいと思うのであれば、過度に「正しい」英語の発音を身につけようとするよりも、多少日本語に影響を受けた発音でも、積極的に英語で会話をするほうが、はるかに目標への道は短くなるだろうと思う。