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友達が何冊か本を日本から送ってくれた。その中の1冊、「僕の「星の王子さま」へ 医療裁判10年の記録」(勝村久司著 幻冬舎文庫)を読んだ。医療事故で生後間もない娘を失った高校教師が、病院、市、厚生労働省、医療制度などの大きな力を相手に、娘の死の真実を知ろうと裁判に訴える。医者と患者の関係ばかりではなく、裁判、官僚、そして教育とは何かという部分まで踏み込んだ内容の濃い一冊だ。

これを読んでいると、日本の医療制度の閉鎖性と、インフォームドコンセントが一般に浸透していない現実をまざまざを見せつけられる。この本の内容は、1990年当時のものなので、今では変わっているかもしれないが、おそらく今でも、医者が指示した治療法や投薬に対して、意見を言うことはおろか質問することさえもはばかられる雰囲気がまだ日本には残っているかもしれない。

私の2歳半の娘はニュージーランドの病院で生まれたが、インフォームドコンセントという面では、かなり徹底した情報提供と意思疎通、医者、助産婦、患者の同意というプロセスが行われたと思う。母親は子どもを生む前に、助産婦から様々な情報を受けることができる。出産のリスクや問題があったときの対処法、生み方などについて説明を受け、どこでどのように産むのか、誰と誰が立ち会うのかなど、全て母親側が決定できる。生まれてくる子どもや母親のリスクを避けるため以外には、無理やり日程を決めて病院側の都合で出産するなどということはほとんどない。「僕の「星の王子さま」へ 医療裁判10年の記録」によると、日本では、土日や祝日の出産が少なく、火曜日の出産が最も多い。これは、病院側の都合で薬などを使って医者が出産をコントロールしているということだそうだ。

ニュージーランドの医療全般を見てみると問題も山積している。でも、インフォームドコンセントという面だけで見れば、かなり徹底して行われているし、それによって、患者が安心して医療を受けることができると思う。