一つのことを一途に長く続ける
何か一つのことをずっとやり続けている人というのは、すごいと思う。
10年ほど前から日本でも、終身雇用制が崩れ、転職するのがあたりまえになってきて、転職しながらキャリアアップをする、という道が、どちらかというと、特に若い人たちにとっては本流になってきているようにも思う。それに伴って、一つの場所で一つのことをずっと続けるということに、スポットが当たらなくなってきているようにも感じる。
いろんな会社でいろんな職種を経験したり、いろんな場所で新しいことをやったりする。それはとてもいいことだし、そういう生き方も魅力的だと思う。私も大学を卒業してから、2回大きな転職を経験している。だからかもしれないが、逆に、10代や20代の前半の頃から、ずっと一つのことを長年やり続けるということに、今、憧れるし、一つのことをずっとやり続けている人のことを心から尊敬する。それは、芸能でもそうだし、職人でもそうだし、特定のものを作り続けている工場で働く人達なんかに対してもそうだ。一つのことを続けようとするとき、周りの環境の変化や周囲の人たちの言うことに、多くの場合は影響され、続けられなくなったり、続けることを止めたりする。その中で、ずっと長い年月やり続けることは、とても勇気とエネルギーの要ることだし、精神的にも強くなければ出来ないことだ。
そして、一度止めると、それは続けられない。何年か経って続けておけばよかったと思っても、戻ることは出来ない。長年、毎日毎日同じことを繰り返すのは、つまらないし飽きてくる。でも、長年、毎日毎日同じことを繰り返すことでしか、身につかないこともあるし、完成しないこともある。
いろんなことをやってみたい、いろんなところでいろんな経験をしてみたい、と思って思い通りにいろいろやってきて、ふと横を見ると、ずっと一つのことを地道にやってきた人の、その一途な視線がやけに輝いて見えて、一体自分は何をやってきたのだろう、と感じる。
人生は限られた時間しか与えられていない。ずっと一つのことをやり続けようと思えば、他のことはできない。いろんなことに挑戦するか、一つのことをやり続けるのか、どちらかしか選ぶことは出来ない。そして、選ぶのは10代後半か20代前半のときだ。その時、時代はどんな流れなのかにも影響されるだろうが、時代は確実に変わる。予想もしない方向に流れることも多い。時代に流されず、自分の意思で決めなければならない。
今この時代に、一つのことを一途に長く続けるという選択をする若い人たちを、私は尊敬する。
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