自分で考える育て方

ある高校留学生が、一度体調がすごく悪くなり私の家に3日間ほど泊まったことがあった。当時彼は15歳。当然学校にも行けなかった。4日目はほとんど回復して、食欲も出て顔色もよくなった。そして、いつも暮らしているステイ先に戻るという時、彼は、使っていたベッドのシーツや布団をきちんと片付けて、部屋も掃除して帰って行った。

それから2年後、彼のご両親がニュージーランドにいらしたとき、そのエピソードを話した。そして、どのようにしたら彼のような15歳に育つのだろう、とお聞きした。お母さんは「とにかく、手を出さなかった。助けようと思っても、子どもが自分でできることは、じっと見守ってきました。それは、実は手を差し伸べて助けることよりも、親にとってははるかに辛いことでした。」とおっしゃっていた。

また、ある高校留学生は、親元を離れて、携帯電話も、日本の本も、インターネットも、日本食も無い環境で暮らしていながら、いつも明るく元気で、ホームシックには全く縁が無かった。ほとんどの留学生は、来た直後か3週目、3ヶ月目くらいにホームシックになる人が多いが、彼女は「ホームシックってどんな状態なのか、わからないです。」とニコニコしながらいつも話していた。

彼女にご両親のことを訊ねた。「うちの両親は、とにかく自分でやりなさい、といつも言う。」という答えが返ってきた。

小さい頃から、自分で責任を持って最後までやり遂げる、という育てられ方をした人は、留学という、一人で立ち向かわなければ前に進まない環境に置かれても、自分のやるべきことをしっかりと捉えて、自分の足で前に進んでいくことができるのだろう。自分の子どもを目の前にして、手助けをしないとか、自分で最後までやらせるとか、実際はかなり難しいことだと思う。でも、そういう態度で接することで、子どもは自分の頭で考えて、自分の足で進んでいくことができるようになるのだろう。

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