経験から学ぶ
少し前までは考えられなかったが、今ではインターネットがないと生活ができないという人も多いだろう。そしてインターネットといっても、単なるホームページを見るというだけではなくて、mixi やFacebook Google+といったソーシャルメディアを誰でも簡単に使えるようになっているし、YouTube やニコニコ動画などで世界中の動画が自分の家で、あるいは携帯電話で簡単に見られるようにもなっている。
だから、ほしいと思った情報は、そして必要な情報は、全ていつでも簡単に手に入る、と思っている人も多いだろう。それは部分的には正しいと思う。
でも例えば、インターネットからいつでも必要なそして十分な情報が得られると考えるとすると、今度は情報を得ただけである程度満足してしまうようになるだろう。インターネットでいろんな情報を集めて、「私はこのことについては、よく知っています。そして理解もしています。」とついつい考えてしまう。
例えばビジネスについての情報をインターネットで検索すると、膨大な数の情報が出てくる。それはドラッガーのマネージメントに関する情報であったり、松下幸之助のやり方であったり、どこかの経営者の言葉であったりする。それらの情報を見て、マネージメントとはこうやるのか、とか、経営はこんなことに注意をするべきなのか、などの情報を得ることができる。
でも、実際に自分でマネージメントや経営をやってみると、「インターネットの情報とは違うじゃないか!」ということがしばしば起こる。顧客の定義が大切だという情報があっても、実際のマネージメントで顧客をきっちりと定義できないこともあるだろう。またイノベーションといわれても、実際に何を選択して何を捨てるのか、現実のマネージメントで実行することは非常に難しい。
それは、例えば留学でも同じだ。NZのワーキングホリデーでは6ヶ月間まで学校に通えるとか、高校留学で学校選びが大切だとか、永住権を取るためにはどんな資格が有利かとか、この学校はよかったとか、この街は好きではなかったとか、そんな情報はいろんなサイトから手に入るし、いろんな人の経験談もたくさん得ることができる。だからといって、実際にNZに留学に来たときに、全ての情報がすっきりと自分の留学に役に立つとは限らないし、ビジネスと一緒で「インターネットの情報とは違うじゃないか!」ということもしばしばあるだろう。
だから、いくらいろんな情報をインターネットから得たとしても、それだけで何もかもを知ったり理解したりできるわけではない。ましてや、実践できるスキルが身につくわけでは決してない。多くの人はそのことはわかっているのだけれど、インターネットで情報を集めていると、ついついそれだけで完結してしまったり、それらの情報が100%の情報だと勘違いして大事な判断の材料に使ったり、また、自分でもできると思ってしまったりする。
インターネットの情報だけでわかったつもりやできたつもりになるのは、少林寺拳法を通信講座で受講してうまくなったと勘違いするのに少し似ている。つまり、必要な情報だけを頭に詰め込んでも、それだけでは実際には役に立たないこともある、ということだ。もちろん、通信講座で少林寺拳法の基礎を学んでいる人のほうが、何もしていない人よりも少林寺拳法についての知識はあるだろうし、実際にやってみたときに最初はうまく行くかもしれない。でもだからといって、通信講座を受けていない人は1年後にも必ず負ける、とは言えない。それは、ビジネスでも留学でも同じだ。たくさんの必要十分な情報を持っているほうが、最初は入っていきやすいかもしれないが、それがずっと役に立つとは限らない。実際には、ビジネスや留学や、少林寺拳法を経験した中から自分自身で学ぶことのほうが、役に立つこともはるかに多いだろう。
マニュアルや他人の経験などの情報は大切だ。でもそれだけでは実践には役に立たない。ビジネスも留学も、そして少林寺拳法も、実際に自分でやってみて、経験から覚えることがより大切なのだ。
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