NZ学会での講演

4月22日に、ニュージーランド学会の特別例会で、「ニュージーランド留学のすすめ」と題した講演の機会をいただいた。

ニュージーランド学会( the New Zealand Studies Society‐Japan)は、ニュージーランドに関するさまざまな分野の研究を進め、日本とニュージーランドの相互理解と学術・教育交流の発展に寄与することを目的とした学会で、年に何度か京都で例会を開いている。例会は、Zoom などを使ってライブ配信されるし、報告を行う人たちもオンラインでニュージーランドからでも参加することもできる。

その日は私の他に、ワイカト大学日本事務局の方、ビクトリア大学日本語学科の方、広島修道大学の教授などが講演をされた。当日Zoomでお聞きになった方もいらっしゃるかもしれない。

今日はこのブログで、私の発表の内容を簡単にご紹介したいと思う。

まず、今まで20年間たくさんの留学生を現地で見てきて思うのは、留学生が留学に求めるものは、究極的には誰でもただ一つ。

それは、「変化」である。

では、実際に留学生たちが留学生活を通して、どのように変化したのか、なぜそのような変化をしたのだろうか?

それを探る一つの切り口として、長期の中学高校留学生に毎年実施している、ゴールセッティングから考えてみる。

長期の中学高校留学生たちのほとんどは、10年後〜20年後、留学終了時、今年の学年の終わり、などのゴールについて、2週間ほどの時間を与えたら、必ず何かを書いてくる。

一方で、日本の高校生に同じようなゴールセッティングをやった先生の話を聞くと、多くの生徒はほとんど何も書いてくることができなかったそうだ。

ではなぜ長期の中学高校留学生たちは長いスパンのゴールについて考えて書いてくることができて、日本の高校生はそれができなかったのか?

おそらくそれは、留学生は留学をする前に、自分の人生について、留学生活について、家族について、友達について、キャリアについてなど、自分自身でも考え、家族や友達とも相談し、ネットでも色々と調べて深く強く考えてくるからだと思う。

つまり、留学に来ている人たちは、留学を始める前からすでに「変化」し始めている。

では、留学とは一体なんなのか。

それは、3つの視点から考えることができる。

一つは、場所を変えること。

コロナ以降、オンラインで授業を配信する大学や語学学校も増えてきたし、これからの時代はそれも一つの主流になってくると思うけれど、もう一方で留学の基本は、日本から海外に出る、つまり場所を変えることが根本にあり続けると思う。

場所を変えることで、見るもの、聞くもの、感じるもの、考えるもの全てが変わって、その結果、日常生活が全く違うものになる。そして留学には、場所の変化とその距離感がとても大切だ。

留学とはなんなのか、二つ目は、破壊と再構築だ。

留学で場所を変えることで、それまでの日本での日常生活を破壊し、その結果、自分自身も破壊することが求められる。そして一旦破壊した日常生活を、新しい留学生活で再構築し、その新しい生活の中で自分自身も再構築していく。これは、内面の変化と言える。

三つ目は、経験だ。

留学は経験だ。場所を変えて、破壊と再構築をすることでしかできない経験。日本では絶対にできない経験を、留学生活でする。それは、変化へのエネルギーとなる。

その経験によって、自分で考えて、自分で判断して、自分で行動する。その力を身につけることができる。

だからこそ、日本でずっと暮らしている人と、留学した人は、根本的な部分で何かが違うのだ。

今の生活に満足していない人、これからの人生が今の延長線上でいいのかと疑問に思っている人。

そんな人はぜひ留学に来て、場所を変えることで、日常生活と自分自身を破壊し、そして再構築して、その経験を通して、自分で考えて判断して行動する力を身につけることができる。

それが留学なのだ。

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2023年 5月14日(日) 

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