NZで陪審員をやって感じたこと

昨日、ニュージーランドの陪審員に選ばれたことをこのブログで書いたけれど、今日は5日間陪審員をやってみた感想を書いてみたい。

担当した事件の詳細は書くことができないので、感想だけを書くのは なかなか難しいけれど、うまく書ければと思う。

まず、昨日も書いたけれど、5日間の陪審員としての仕事を通して、ニュージーランドはとてもフェアな国だと感じた。

その裁判は、裁判長自らが言っていたけれど、とても難しい裁判で、明らかに被告人が悪いことをしたと誰もが認める状況ではなく、ある正義を実行するために、やむなく法に触れるかもしれない行為をしてしまった、という状況だった。

しかも最終的には、全体としてはすべて何もかもがうまくいき、その正義は遂行された。 ただその過程で被告人がとった手段が、ある法律に触れる行為であるかもしれない、ということで起訴されたのだ。私などは、これが立件されて起訴されるのか、と驚いたくらいだ。

結果良ければ全て良しということではなく、あくまでも 一つ一つのプロセスが 法に基づいて行われたのかどうかを徹底的に検証する。そういう姿勢がニュージーランドにあるように感じた。

またその裁判では、必要で十分な情報が、弁護人、検察官、裁判長だけではなく、もちろん陪審員にも開示された。挙証責任が検察側にあり、推定無罪の原則も貫かれているので、必要で十分な情報が開示されないと、被告人が有罪になる可能性は低くなる。それが基本だ。

そしてまた、裁判の基本的なプロセスや考え方が、きちんと最初から最後まで押さえられていることも強く感じた。

昨日もこのブログでも書いたけれど、裁判が始まる時に、裁判長が陪審員に向かって裁判の進め方や基本的な考え方をきちんと説明する。陪審員としての役割、陪審員がすべきこと、推定無罪の原則 、裁判中で 開示された情報と証拠だけを使うこと、つまり家に帰って自分で調べた情報などは絶対に参考にしないこと、私情をはさまないこと、挙証責任を負うのは検察官であること、そういう基本的なことを必ず押さえて判決を決めるように強く言われた。

後は、プロセスを丁寧にきちんと押さえているとも感じた。時間がないなどという理由でプロセスを飛ばしてしまうということはもちろんしない。今日は何があるのか、今やっていることはどういう理由があるのか、それが今後何にどう繋がるのかということが、一つ一つその場で丁寧に説明され、実行される。

これらのことをすべて踏まえた上で、最後に12人の陪審員が、陪審員控え室でディスカッションをして、結論を出す。私が担当した裁判は、延々と休みなく3時間ぐらいディスカッションをした。

かなり難しい裁判だった けれど、結局決め手になったのは、検察が裁判の中で立証すべきことがきちんと立証できていたのかという点だった。

実際に陪審員をやってみて実感したのは、被告人が実際に法をを犯したかどうかは、陪審員には 分からない。それは 神のみぞ知る。

だから陪審員が注目すべき点は、挙証責任を負う検察が、合理的な疑いを超えるだけの証拠を提示しているかどうかということだ。 もし証拠のどこかが疑わしければ、「疑わしきは被告人の利益に」なる。

結局 10人を超える証人の証言や提示された写真や書類など全てを陪審員みんなで読み込んで、検察がきちんと立証できているかを徹底的に議論した。

誰かの有罪か無罪を決定して言い渡すのは、その人のこれからの人生、その人の家族や周りの人たちの人生を大きく変える。 私も含めて陪審員たちは、 本当に真剣に議論して、結論が出た後はもうみんなぐったりしてしまった。

でも フェアな精神のもと、全ての情報が開示され、きちんとしたプロセスにそって、基本的な考え方を押さえた上でなされた徹底的な議論で、12人の陪審員全員が納得できる結論を導き出せだと思う。

今回陪審員をやってみて、やはりニュージーランド 素晴らしい国だなあと改めて感じた。

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