留学生の脳の柔らかさ
歳をとると、覚えが悪くなったり、新しい環境にすぐになじめなかったりする。
それは、生物学的に脳が衰えているということもあるだろうが、無意識に何かが邪魔をしているのではないか、と思うこともある。
例えば、日本で小学校から大学まで通い、卒業後10年くらい日本の会社で働いた30代の人が、ニュージーランドの高校で学生として留学したとする。最初は英語で会話もできなくて、授業もわからない。しばらくして英語でコミュニケーションが取れるようになってきたとしても、まだニュージーランドの高校の授業にスムーズについていくことができない部分も多いと思う。それが、日本で中学を卒業してすぐにニュージーランドの高校に留学した人なら、数ヶ月もすれば、ニュージーランドの高校の授業にスムーズについていくことができる。
日本で長く教育を受けて、そして仕事もある程度してきた人は、日本のやり方、日本の考え方、日本のシステムが身についている。ニュージーランドの高校に来てたとえ英語ができるようになったとしても、それまでに身につけてきた、やり方、考え方をすぐに変えることは難しい。それが、ニュージーランドの高校の授業にスムーズについていけない原因となる。逆に、日本で15歳までしか教育を受けていない人は、経験が少ない分、日本のやり方、日本の考え方がしっかりと身についておらず、ニュージーランドのやり方、考え方を素直に受け入れることができる。
今までの経験が、新しいやり方や考え方を受け入れることを拒む。それは、時には自信やプライドと言ってもいいかもしれない。どうしても、日本で培ってきた自分の経験に基づいて判断し行動してしまう。そしてそこからは、意識してニュージーランドのやり方、考え方を受け入れて、状況を考えて行動するということが必要になる。10代の留学生のように、素直に受け入れて、自然に行動することは難しい。
30代、40代からでも、ある程度長期でニュージーランドに滞在していれば、ニュージーランドのやり方や考え方が、身につくこともあるだろう。でも、10代の高校生がそれらを身につけるやわらかさと速さにはかなわない。
もし、今までと違うやり方、考え方に触れて、それを身につけようというのならば、留学は10代の若い年齢のときのほうが、柔軟にいろんなものを受け入れることができるだろう。
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