日本語も大切

留学生には、いつも言う。「日本語を話す人とはできるだけ一緒にいずに、わからなくてもいいので、現地の人達と会話をして、英語で何とか伝えようとしてください。」

特に、留学をスタートさせてすぐの人達には、会うたびに「現地の学生と一緒にいる?日本からの留学生だけで固まっていない?」と聞く。「もう現地の友達ができました。」とか「一緒に買い物に行きました。」などという返事が返ってくることをいつも期待している。

ニュージーランドで留学生活を送っていても、ずっと日本語で会話をしていると、英語力は伸びない。英語で現地の学生と話をするのはエネルギーが要るし、もともとが人見知りだったりすると、新しい友達を作ることも勇気が要るのはわかる。でも、英語力は放っておいてもどんどん伸びる、などというものではない。自分から動いて、自分から話して、自分から聞く、という能動的な行動が不可欠だ。

そして、高校留学生が留学生活2年目、3年目になってくると、どんどん英語力が伸びて、日常生活には困らない程度になってくる。

でも、そのときにふと感じるのは、日本語の使い方だ。高校留学3年目のYear 13 にもなると、もう半分大人だ。日本だと接客のアルバイトをしている人も多い年齢だ。しかし、留学生活が長い人ほど、敬語など日本語の使い方が少し変に感じることも多い。留学生の中には、高校留学を終えたら日本の大学に入りたい、という人もいるけれど、その日本語で、アルバイトも含めた大学生活を送って大丈夫なのだろうか、と思うこともある。

英語漬けの生活を送ることで英語力を伸ばすべきだといいながら、日本語もきちんとできるようになりなさい、というのは、ものすごく矛盾しいるのはわかっている。でも、例えば19歳で、日本でアルバイトをしたり、大学の授業を受けたりするときに身に付けておくべき最低限の日本語の能力、スキル、というものもあるだろう。

高校留学を始めたときには、英語漬けの生活で英語力をどんどん伸ばすのがいい。そして、留学中は常に英語のブラッシュアップを心がけるべきだ。しかし、日本の大学に行ったり、日本で仕事をしたりする予定があるのなら、社会に出たときに必要な日本語の力もきちんと身に付けておくべきだろう。

留学を終えて日本で活躍する人に求められるのは、英語力、多角的な視点や考え方だけではなく、日本語でのきちんとしたコミュニケーション力もあるだろう。その「二種類の異なる能力」を身に付けているからこそ、留学してから日本で暮らす価値がよりいっそう認められるのだ。「日本語は中学生レベルです。なぜなら高校留学していたからです。」というのでは、あまりにももったいない。留学中に身に付けた能力を日本で発揮したいのであれば、日本語でのコミュニケーション能力もしっかりと備えているべきだと思う。

留学生にとってはすごく厳しい現実だけれど、留学中の時間を使って、日本語の力もきちんと伸ばしておくことを強く勧めたい。

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