オークランドとワイカト地域のアラートレベル3でのステップ変更から見る今後の展望

昨日NZ首相と保健省長官が記者会見を開き、現在アラートレベルがLevel 3でステップ1のオークランド地域とワイカト地域を、Level 3のステップ2に緩和することがアナウンスされた。

Level 3 の制限緩和移行は、3つのステップで行われることになっていて、ステップ2は以下のような内容だ。

〇 リテイルショップは、マスク着用で、かつ2メートル以上のフィジカルディスタンスをとることで、お客さんを店内に入れて開業できる。

〇 スイミングプール、図書館、ミュージアムなどの公共施設も、マスク着用で、かつ2メートル以上のフィジカルディスタンスをとることで、オープンできる。

〇 屋外で、25名までの集会が認められる。

ステップ2になると、リテイルショップがオープンできるのが今までと大きく違う。

このステップの移行は、ワイカト地域は明日から、オークランド地域は来週水曜日からの予定だ。

この会見の最初に、保健省長官が現在のニュージーランドの新型コロナウイルス感染拡大の状況を、スライドを使って簡単に説明した。

それを聞く限りでは、オークランド地域を中心に市中感染確認者数は増えてきているけれど、入院者数や重症者数はほとんど増えていないことがわかる。

先日発表された、「The COVID-19 Protection Framework」と呼ばれる、今後導入されるCovid-19対策の新しいフレームワークは、ニュージーランド国内の医療システムのひっ迫を防ぐことを最大の目的にしているけれど、今回のアラートレベルのステップの移行も、基本的にはその考え方を踏襲しているようだ。

報道やSNSなどでは、市中感染確認者数が減っていないのにアラートレベルのステップを緩和する方向に進めることに対する疑問も出ているようだけれど、ニュージーランド国内の医療システムのひっ迫を防ぐことを最大の目的にしていることを考えると、ある程度納得はいく。

簡単に言えば、これからのニュージーランドの新型コロナウイルス感染拡大への対応は、 市中感染確認者数を最も重要な基準にするのではなく、 入院患者数や重症者数など、 ニュージーランド国内の医療システムがどれほどひっ迫しているのかを、もっと重要な基準として判断する、ということだろう。

もう少し言えば、 今後も市中感染者は必ず確認されるということだ。 言い換えるとワクチン接種の有無に関わらず、自分も含めて新型コロナウイルスに感染する可能性もある、ということだ。

それでも症状が出なかったり、症状が軽かったりすれば、適切な対処をすることで、社会全体としては許容範囲であるという考え方だ。

そして以前にアナウンスされたように、対象者のワクチン接種率を90%以上にすることによって、たとえ市中感染確認者数が増えたとしても、 できるだけ医療システムのひっ迫を防ぐことによって、 経済を回し、人々の行動を緩和していく、という方針なのだと思う。

ワクチンを接種している人は、感染したり感染させたりはする可能性もあるけれど、 重症化する可能性が比較的少ないと、現時点では考えられているからだ。

そうであるならば、 ワクチン接種率が目標の90%に達した時点で、 ワクチン接種を終えた人たちが、海外からニュージーランドに入国できるようになると、ロジカルには考えられるだろう。

あとは、海外から入国する人たちに対して、 政府管理下での隔離や自主隔離をどのように運用するかによって、入国者数が変わってくるだろう。もし隔離が不要になれば、多くの人が入国できるようになる。

これからのニュージーランドの新型コロナウイルス感染拡大への対応は、 市中感染確認者数を基準にするのではなく、 入院患者数や重症者数など、 ニュージーランド国内の医療システムがどれほどひっ迫しているのかを基準にして判断することが明確に示されたという点では、 昨日の記者会見は大きな意味を持っていると思う。

今後も市中感染確認者数を中心とした報道が続くことが予想されるけれど、 おそらくもうその数は、最も重要なデータではなくなってしまったということも、受け取る私たちは理解した上で、 その他のいろいろなデータや政府からのアナウンス、そして報道機関からの情報よく見て、考えて行動していく必要があるように思う。

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