ほんとうの自分
「日本にいたときは、活発でよくしゃべる人だと思われていました。実際にそうでした。でも、留学に来てから、シャイだと思われています。本当の自分はこんなんじゃないのに、どうしたらわかってもらえるでしょうか。」
「留学を始めてから、なんか自分が変わったと思います。日本にいたときより明るくなりました。日本に帰ってもこのままの自分でいたいと思っていますが、またもとの本当の自分に戻るかもしれないと不安です。どうすればいいのでしょうか。」
留学してから自分が変わった
という人はたくさんいます。
では、「本当の自分」とはどんな自分なのでしょうか。本当の自分って、いったい何なんでしょうか。本当の自分とは、自分で思っている「私はこんな人間だ」という自分とイコールなのでしょうか。本当に自分が思っている自分自身が「本当の自分」なのでしょうか。
実は、本当の自分はこんな人間だと思っている自分像は、本当の自分ではないかもしれない。一度、そう考えてみるのもいいのではないかと思います。それによって、自分が変わるかもしれない。
つまり、私はこんな人間だという思い込み。それが自分を作っているのかもしれないということです。
例えば、「私は、消極的な人間だ。」と思っている人がいたとします。その人は、大きな舞台で何か積極的な発言なり行動なりをすべき時に「私は消極的な人間だから、とてもそんなことはできない」と無意識に考えます。そして、できない。
私はこんな人間だ。だからこんなことはできるけれど、こんなことはできない。やろうともしない。なぜなら、私はこんなことはできない人間だからだ。
一種の自己暗示です。
「いや、違います。自己暗示ではありません。事実、私の周りのほとんどの人が、私のことを消極的な人間だと思っています。そして、私自身もそう思っています。だから、私は事実消極的な人間なのです。」という人もいるかもしれません。
確かにそれは一つの事実です。周りの人が自分のことを消極的だと思っている。私も自分のことを消極的だと思っている。それは事実です。でも、だからといって、その人が本当に消極的な人かどうか、それは事実かどうかわかりません。
周りの人はその人が消極的な態度をとっているから消極的だと判断するだけで、その人の内面をのぞいているわけではありません。単に表に表れている現象で判断しているに過ぎないのです。
そして、その人も、周りが自分のことを消極的だと思うから、いまさらみんなを驚かすような積極的な行動はできない、と思ってしまいます。そして周りの評価を裏切らないように益々消極的になって行きます。
そして、本当の自分は消極的だと思い込む。本当は、本当の自分など自分でもわかっていないのに、簡単にそう思い込んでしまう。
「それでいいじゃあないか。私は自分を変えようなんて思っていない。」という人はそれでいいです。
でも、何とか今の自分を変えたい、変わった自分をキープしていたい、本当の自分がわからない、あるいは、現状を変えるためにまず自分を変えたい、などという人は、今現在自分が持っている「本当の自分像」を疑ってかかるのも一つの方法だと思います。
本当に自分が思っている「本当の自分」が本当の自分なのだろうか。違うのではないか。単に長年思い込んできただけではないか。周りの人の評価にあわせてきただけではないか。ひょっとしたら違った自分が自分の中にまだまだいるのではないか。と考えてみます。
そして、私はひょっとしたらこういう違う人間なのではないか、と考えてみます。「私は、実は積極的な人間なのではないか。」「本当は、明るい人間なのではないか。」「ひょっとしたら、思い切りのいい人間なのかもしれない。」などと、自分がこうありたいという人間像を「本当の自分」として思い浮かべてみます。
今まで、「自分は消極的な人間だ」と思い込んでいたから消極的だったのであれば、「実は積極的な人間だ」と思い込めば積極的な人間になる可能性もあるのです。
その時に、留学など大きな環境の変化があれば、比較的簡単に自分を変えることができます。最初に出てきた、「留学してから日本にいたときより明るくなった」というのは、周囲の自分に対する期待や評価が変わることで、それまで思い込んでいた「本当の自分」像を自分から変える必要が生まれ、結果的に自分が変わったということだろうと思います。そして、「ひょっとしたら自分は明るいのかもしれない。」と思うようになる。そして、ますます明るく振舞うようになり、「本当の自分」が変わっていくのです。
そう考えると、「本当の自分」は、今、自分が思っている自分一つではなく、他にもいろいろな可能性があるといえます。そしてそれは、環境や自分の考え方で変えることができる。
よく、「人は、こうなりたいと強く思えば、そうなることができる。」などと言われますが、まさにその通りです。
自分で作り上げた「本当の自分」しか自分の可能性はないと思い込んだりせず、それを疑ってかかることで、今までできなかったことができたり、得られなかった評価を得たりすることができるのではないかと思います。
「本当の自分」それは、自分自身の中にあるほんの小さな自分の一部に過ぎないのではないでしょうか。
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