文庫本
ニュージーランドで長く暮らしていて恋しくなる日本のものはたくさんあるが、やはり、活字が読みたい、と激しく思うことがたまにある。
今は、インターネットがあって日本語の情報はいつでも最新のものが手に入るが、日本の本はなかなか手に入れることができない。
夜寝る前とか、雨の週末とか、ちょっと時間が空いた時に、リラックスしながらもむしょうに日本語の本を読みたくなることがある。
最近は、なぜか、読むなら名作と呼ばれているような日本文学を読んでみようという気になって、昨年末に日本に行った時に、ちくま日本文学文庫版というのを何冊か買ってきた。このちくま日本文学文庫版は、2007年11月に最初の6作家が刊行されたので、私が年末に買ったときは出てすぐだったということになる。予定では、全30巻になるとのことだが、まずは、内田百閒、芥川龍之介、宮沢賢治、尾崎翠、幸田文、寺山修司の6巻が書店に並んでいた。文庫でしかも一作家一巻という制約があるので、収録されているのは短編が主だが、寝転びながら空いた時間を埋めるには丁度いいつくりだ。
とりあえず、手に取った、内田百閒、宮沢賢治、寺山修司の3巻を買ってきたのだが、昔読んだ文章もあり、初めての文章もあり、なかなかおもしろい。宮沢賢治の注文の多い料理店などは、子どもの頃に絵本で読んだ記憶があって、文庫本を読んでいても、その挿絵がふと思い出されたりして、ちょっとぎしっとすっぱい気持ちになったりする。内田百閒などは、実は初めて読むのだが、もう少し早く手にしておけばよかったのに、と思いながらも楽しんで読んでいる。
高校留学生とか、あるいは、ワーホリで来る20代の人たちが、こういう文庫本を2~3冊かばんにいれて持ってくるのもいいかもしれない。ホームステイのベッドの上で読んだ寺山修司なんかは、日本に帰国した後でも、その時の思い出とともにいつまでも強い印象を残すのではないだろうか。
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