バッパー暮らしを思い出す
13年前、ニュージーランドの、オークランドからインバカーギルまで旅をした。
費用を抑えるため、宿泊はほとんどがバックパッカーズホステルだった。最初の滞在地オークランドでは街中の大きなバッパーに滞在した。最上階にバーがあり、週末はパーティで騒がしかった。バッパーってこんなにもやかましいところなのか、と、少しめげた。街の少し離れたこじんまりしたバッパーに移った。日はあまり当たらない部屋だったが、比較的静かでよく寝られた。
しばらくして、バックパッカーズホステルの一覧が掲載されている冊子があることを教えてもらった。それぞれのバッパーにはレートがついていた。レートが高いほど人気のある、評価の高いバッパーということだった。それ以降、新しい街に移動するときには、その冊子をよく読んでレートの高いバッパーを予約するようにしていた。
またしばらくすると、バッパーで会った人と、バッパー情報交換をするようになった。今までに自分が滞在したバッパーの情報を伝える代わりに、その人が滞在したバッパーの情報を教えてもらった。バッパー一覧の冊子からではわからない生の情報、例えば、清潔かどうか、バス停からどれくらい近いか、部屋は暖かいか、そして、シャワーが熱くてよく出るか、などが、キーポイントだった。まだインターネットなどという便利なものは、ニュージーランドには存在しなかった。
今、ロトルアで自分の家に住んで、何か少し不満な気持ちが沸いたとき、13年前のバッパー暮らしのことを思い出すようにしている。寝袋で寝て、ぬるくてゆるいシャワーを浴びて、知らない人と同じ部屋で寝起きし、共同キッチンで食事を作っていたことに比べれば、今の生活はまさに天国。何が不満なことがあるだろう。そう考えるようにしている。
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