何かをすることより何かをしないことのほうが難しい
新しい留学生が到着したら、ステイ先まで会いに行って話をする。話す内容はいろいろだが、もしその留学生が、留学中に英語力を伸ばしたいという希望を持っているのであれば、必ずするアドバイスがある。
「できるだけニュージーランドの友達を作って、英語でコミュニケーションをとる環境を自分で積極的に作ること。」
ほとんどの留学生は私のこのアドバイスに、「わかっています。当然です。必ずそうします。」という反応をする。
ロトルアの高校に留学する学生達の多くは、私のこのアドバイス通りにしようと努力する学生が多い。それは、ロトルアの高校には日本からの留学生が少ないということもあるだろうし、私が定期的にコンタクトを取って、「どうですか?ニュージーランドの友達と話をしていますか?」と何度も聞くということもあるだろう。だから、ロトルアの高校留学生はみんな、英語力がどんどん伸びる。
でも、語学学校に通う留学生達は、周りに日本語を話す人が意外とたくさんいるので、ついつい日本語を使ってコミュニケーションをとってしまう人が多い。学校ではEnglish Only のルールがあるところがほとんどだが、日本人同士が集まって英語を使って話をするというのもなんだか恥ずかしく、日本語で話をしてしまうようだ。
また、オークランドの高校の中には、日本からの留学生が何十人も在籍している学校もあるようだ。その環境で、「できるだけニュージーランドの友達を作って、英語でコミュニケーションをとる環境を自分で積極的に作る」というのは、かなり難しいだろう。特に10代の高校生が、他の日本人留学生と別行動を取るというのは簡単にはできない。
留学に来た当初に英語力を伸ばしたいと思っていた留学生達は、ニュージーランドの友達を作ろうと心に決めて留学を開始する。でも、日本からの留学生が多い環境にいる学生達は、それを実行することがなかなか難しい。なぜなら、ついつい日本語で話をしてしまう環境にあるからだ。
つまり、「英語を使ってニュージーランドの友達を作り、積極的に話をする」ということは、実はそれほど難しくはなくて、何が難しいかと言うと、「日本語でコミュニケーションが取れる環境にあるのに、日本語を使わない」ことが難しいのだ。簡単に言うと、「何かをする」ことよりも「何かをしない」ことのほうが、より難しい。
簡単に何かができる環境にあるのに、それをしないというのは、留学生の英語の話だけではない。インターネットが簡単にできる環境にあるのにインターネットを使わないとか、ゲームが簡単にできる環境にあるのにしないとか、車が簡単に使える環境にあるのに乗らないとか、そんなことは日常生活にたくさんあるだろう。そして私も含めて多くの人が、「何かをしない」ことを実行し続けることをあきらめてしまうのだ。
留学してなかなか英語力が伸びないと悩んでいる留学生の方。英語を使ってコミュニケーションをとろうと努力する前に一度、日本語を使ってコミュニケーションをすることをやめる努力をしてみるのが、いいのではないでしょうか。
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