成功なんかしたくない
UenoTコロナ前とコロナ後で、世の中が大きく変わったと感じている方も多いだろう。
ニュージーランドで留学生を20年間ずっと見てきた私たちも、コロナ前と後で、留学生たちがどこか変わったと感じている。
コロナ前だと、留学に来た限りは、日本では得られないものを絶対に得たい、何か大きなことを成し遂げたい、将来成功するための一つの足がかりにしたい、などと考える人たちも多かった。
英語力はできるだけネイティブに近いくらいまで上げたい。できるだけたくさんの人たちと出会いたい。大学やポリテクで高い資格を取りたい。
そして、ラグビーでプロになったり国の代表になったりする、そんなスキルや考え方を留学中に身につけたい。
でも、コロナが終わってから留学をスタートさせた人たちは、そんなコロナ前の留学生たちとどこか違う。
何かこれだけは得て日本に帰ろうというものは持ってないし、大きなことを成し遂げたいとも思ってない。そして、将来の成功のための足がかりに留学を使うという発想もない。そんな留学生たちがいる。
せっかく留学に来たのだから、日本ではできない経験や日本では得られないこと、日本では出会えない人たちと会って、いろんな経験をして、その経験を通して、日本とは違う成長の仕方をする。そしてその成長を通して、留学後の人生を豊かなものにしたり、もっと言えば、「成功」したりする。
そんなふうには考えない、という。
そもそも、「成功」なんかしたくないのだ。
人と争って、
勝って、
いい生活を手にいれる。
上を目指す。
人生で「成功」する。
そんなことは全く考えてない、という人も増えてきた。
そんなことよりも、プレッシャーを感じずに、そこそこ収入があって、毎日なんとなく楽しくて、争いがなく、悲しみもできるだけ少なく、のんびりと、自分の時間を持って、ニコニコしながら、毎日暮らしていけばいい。
おそらく、時代はそうなのだろう。一生懸命頑張って、人と争って、なんとか勝って、夢を持って、成功して、そして手に入れられるものなど、たかがしれている。
そうであるならば、最初からそんな大きなものを得ようとしなくても、そんな高いところを目指さなくても、そんな困難を引き受けなくても、いいだろう、と考える。
おそらく私が今の時代に十代二十代の人生を過ごしていたなら、きっと同じように考えていたと思う。
成功なんかしたくない。
その気持ちもよくわかるし、「成功」を目指して頑張ることだけが人生だとも思わない。
でも、やっぱり、留学にきたからには、日本ではできない経験をたくさんして、日本ではできな成長をして、日本にいた時とは違う人になって、その身につけたことを留学後の人生に大いに活かして欲しいと我々は思うのだ。
コロナが終わったこれからの時代。
さて、これから留学にやってくる人たちは、どんな留学生なのだろう。
とても楽しみだ。
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