タコを見直す
週末にドキュメンタリーチャンネルか何かの番組を見ていたら、海に住むタコの実験をやっていた。
タコを1メートル四方の箱に入れ、ぎりぎり体が通れるくらいの穴を一つだけ開けておく。タコはまずその穴から手(ひょっとしたら足)を出して穴の大きさを調べ、体全体が通れると判断すれば穴から出ようとする。そしてタコが出られないほどに穴を小さくた場合、手を出して大きさを調べてもタコは穴から出ようとしない。つまり、タコは自分の体の大きさがわかっている、ということだ。
別の実験は、大きな水槽を透明の仕切りで2つに分けそれぞれにタコを入れておく。一方のタコに、ふたを開けないと中のエサが取れない透明の箱を与えると、与えられたタコは試行錯誤の後うまくふたをひねって開けて中の獲物を取る。そしてここからがみそなのだが、隣の水槽にいるタコは、もう一方のタコがふたをひねってエサを取っている様子を透明の仕切りに張り付いてじっと見ていて、後で同じようにえさを入れた箱を与えると、試行錯誤せずにいきなりふたをひねって獲物を取る。つまり、タコは他人(他タコ)がやっている行為を見て学習する、ということだ。
番組を最初から最後までじっと見ていたわけではないし、その実験だけではなんとも言えないのだが、タコって意外と賢いのだろう。タコというと、何も考えずにふらふらと生きているようになんとなく思っているが、他人(他タコ)がやっていることをじっと見て学んだり、自分の体が通れるかどうか手で大きさを測ったり、人間が普段やっているのと同じようなことをしている。
調べてみると「タコ」には、動作が鈍くて不器用なもの、また、それが原因で使いにくいものを指す俗語、の意味があるようだが、実際は結構器用で賢い。これからは「タコ」を、自分の大きさがわかっていて、他人の行動から学ぶことができる、といういい意味で使われるようになるかもしれない。
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