指導者は質問をせよ
ニュージーランドのラグビー協会が作成している、Coaching Toolbox という、ラグビーのコーチングのサイトがある。フェイスブックのページもあるので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。
その中の最近の記事「なぜコーチは質問をすべきか?」が興味深かった。
このブログの「NZジュニアラグビーコーチングに学ぶ」でも書いたけれど、ニュージーランドのラグビーのコーチは、ジュニアから大人のチームにいたるまで、ニュージーランドラグビーユニオンが作成したコーチングマニュアルに沿った指導が行われている。基本的には、「練習の目的の全体への説明 → コーチも一緒に入った練習 → 練習の目的に合った個人への指導 → 全体を集めての双方向の指導 → 再度練習」という繰り返しの中で、選手達に自分で考えさせながら、練習によって何をつかまなければならないかを理解させながら、指導する。
その中で必ず「双方向の指導」つまりコーチが質問を投げかけて選手達がそれに答える、という指導が入る。
Coaching Toolbox によれば、コーチが選手に質問をすることで、選手達に練習内容を理解させ練習に集中させたり、試合に向けてチームでのアプローチを促したり、チームに良い雰囲気を生み出したり、いろんな選手からの幅広い返答を選手が共有したりすることができるという。また、コーチは自分でその質問の答えを言ってはいけないし、質問はその場で考えたものではなく、よく練られたものでなければならないとのことだ。
さらに、試合では、選手が試合に集中できるよう、また、コーチが選手の動きをよく見ることができるように選手の動きを妨げるようなことをしてはいけない。コーチが設定した目標を選手が理解していることを確認する。試合がうまくいっている時には、一つ上の段階を選手に求めても良い。各選手にはそれぞれの到達レベルがあることをコーチは理解しておく。コーチがそれぞれの選手に合ったフィードバックをする前に、選手が自分がどんなプレーをしたのかがわかっていることを確認する。などが注意事項として挙げられている。
これらは、ラグビーのコーチとして選手を指導するときにも役に立つけれど、先生が生徒を、親が子どもを、大人が若者を、上司が部下を指導するときなどにも応用できると思う。
指導する立場の者は、一方的に言葉を投げかけるのではなく、よく練られた質問をして双方向のコミュニケーションを確立する。そして、質問の答えは指導者が与えずに生徒や子どもに考えさせる。また、指導する者は、相手の状況や理解度をよくわかった上で指導を行う。
様々な状況で、誰かを指導する時、「質問」を中心としたコミュニケーションをもっと取り入れてもいいのかもしれない。
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