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ここ数年通っていた美容院に電話をしたら、担当の人はタウランガに行ってしまったと言われた。

どこか他の美容院に行かなければならない。せっかくなので、美容院ではなく、ロトルアの街中にある散髪屋さん、こっちで言うところのバーバーに行ってみた。赤と青と白の縞模様がまぶしい、あの散髪屋さんだ。

店のたたずまいが美容院とは全く違う。美容院をジャズだとすれば、バーバーは民謡といったところだろうか。あるいは、シタビラメのムニエルの美容院に対して、牛丼大盛り卵かけのバーバーとでも言おうか。自分でも何を言っているのかよくわからない。とにかく違う。

座ると店の40代の男性に一言こう聞かれた。

「何センチ?」

私が「2センチくらい切ってくれ。」というと、ものすごく怪訝そうな顔をされた。よく伝わらなかったのかと思いもう一度「2センチくらい切ってください。」と今度は少し丁寧に言うと、その男性はにっこりして

「ここはバーバーなので、この中から長さを選んでくれ。」

と鏡の前に並べた、バリカンの先に装着する刃のようなものを指し示した。刃は全部で4種類。とにかくバリカンで一定の長さに切る、それがバーバーのバーバーたる所以らしいことに、その時初めて気がついた。さすがバーバーだ。切る長さではなく残る長さを指定する。

「一番長いのは何センチ?」と聞くと、「16ミリ」と言われた。自分の髪の毛が全て1センチ半程度に切りそろえられたところを想像して、嫌な汗が背中を伝い始めている時、その男性は、「じゃあはさみでシャシャっと切ってあげよう。」といってくれた。助かったと思いつつ、最初からそういう選択肢も選べるように説明してほしかったと心の中で思った。

その時はすでに頭の4分の1くらいははさみでジャキジャキと切られていた。とにかく速い。全て10分もかからなかったのではないだろうか。鏡で後ろを見せてくれることもなく、15ドルです、と有無を言わさない終了宣言。

店に入ってから出るまで15分。パーキングに1時間も入れていた自分が無性に恥ずかしかった。

出来上がった髪型は、まさに牛丼大盛り卵かけのようだった。