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ついこの間まで、黒いレコード盤に針を乗せて、プチプチという音がたまに混ざる音楽を聴いていた。

ついこの間まで、やたらに奥行きのあるテレビを観ながら、映りが悪いときにはバンバンとテレビの上を手でたたいていた。

ついこの間まで、1から0までの数字が書かれた穴の開いたダイアルのついた黒い電話機で電話をかけていた。

ついこの間まで、はがきや便箋を買ってきて、ペンで手紙を書いていた。

ついこの間まで、撮った写真を現像に出して、どんな写真が写っているのかわくわくしながら写真屋さんにできた写真をとりに行っていた。

ついこの間まで、子ども達は「ゲームをしよう」と言って、人生ゲームやトランプ、鬼ごっこなんかをして遊んでいた。

そんな時代を知っている者からすると、iPod や3D テレビ、スマートフォンやEmail、デジタルカメラやオンラインゲームなどは、とても大きな変化だ。レコードを聴いていたときには、まさか手のひらサイズの薄い音楽プレーヤーで何千曲もの音楽持ち運べるとは想像していなかったし、撮った写真をその場で見て消去したりできるようになるとは思いもよらなかった。でもそれらは現実のものとして手元にある。

本当に大きな変化だと思う。でも、その変化によって人々がいい方向に進んでいるのかというと、なんとも答えられない。レコード盤を聞くのとiPod で音楽を聴くのと、1曲を聴くことにおいてどちらがいいのか、わからない。大量の音楽を便利に携帯して聴くことができるのはiPod だけれど、一度に聴くのは1曲だ。その「1曲を聴く」という行為を行うとき、レコードのほうがいい、という人も当然いるだろう。また、常に持ち歩く携帯電話はいつでも人とつながることができるという意味ではとても便利で、今では欠かせないものだけれど、そもそもいつでも人と連絡を取るあるいは人から連絡がくることは、いいことだろうか、という疑問もある。

過去何十年かで、いろんなものに大きな変化があった。でもそれは「変化」であって、進歩や発展、ましてやさらなる幸福に向かっている、ということではないのかもしれない。