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今日の午前中は人と会う約束をしていた。待ち合わせ場所のカフェに少し早めに行って、コーヒーを飲みながらその人を待っていた。そして一人でコーヒーを飲みながら、カフェのガラス越しに通りを行きかう人を眺めていた。

大きなバックパックを背負って地図を見ながら歩いている女性、手をつないでカフェに入ってくるカップル、ベビーカーを押しながら横断歩道を渡っている母親、きちんと制服を着て背筋を伸ばして歩いている警官二人、一年で一番寒い季節なのに薄いTシャツ1枚で歩いている体格のいい若者、真っ赤なコートを着た老婦人、アディダスの黒いジャージを着て書類を持って歩いている二人の男性。

いろんな人が目の前を通り過ぎて行った。

それぞれの人にはそれぞれの行き先があって、それぞれの人生があるのだろう。

バックパッカーの女性はどこから来たのだろう。カップルはコーヒーを飲みながらどんな話をするのか。母親は子どものミルクを買いに行くのだろうか。二人の警官は今までにどんな事件に遭遇したのだろう。Tシャツの若者の家のクローゼットは何が入っているのだろう。老婦人の真っ赤なコートは誰かのプレゼントだろうか。書類を持っている男性達は何かを調査しているのだろうか。

通りを行きかう人たちをガラス越しに眺めながら、そんなことを考えていた。

人を待つのも悪くない。