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どうしたら英語力は伸びますか?とよく聞かれる。あるいは、語学留学に来た留学生に留学の目的を聞くと、「とにかく英語力を伸ばしたいんです。」と言う。

確かに、自分の英語力に自信が無いと、もっと英語が聞けて、話せて、読めて、書けるようになりたい、という気持ちになる。英語力を伸ばしたいという意欲はすばらしいし、その意欲に裏打ちされ、留学という行動を起こした行動力もすごいと思う。

しかし、英語力ってそもそも一体何で、英語力を伸ばすってどういうことで、そしてここが一番大切なのだが、英語力を伸ばして何がしたいのか、ということが明確な留学生は、それほど多くない。

昔から多くの人が言っていることだが、例えばニュージーランドで生まれ育ったニュージーランド人は、6歳でも英語でコミュニケーションができるし、簡単な読み書きくらいはできる。つまり英語を操る力というのは、例えば数学のナントカ定理を証明するとか、宇宙誕生の秘密を解き明かすとかいったレベルの力ではなくて、環境さえ整えば、小学校1年生でも簡単にできてしまう力を指すのだ。

日本の中学校や高校では、英語という科目が数学や化学などと同じカテゴリーで並んでいるので、英語は数学や化学と同じような種類のものだとなんとなく思っている人も多い。でも、ニュージーランドの小学校1年生は、日本の高校3年生よりも英語の会話能力は高いが、数学や化学は、当然日本の高校生のほうがレベルが高い。つまり、そもそも英語とほかの科目は、中学や高校の勉強においては種類が違うものなのだ。

では、英語力って何なのだろうか。留学生が「英語力を伸ばしたい」というときの英語力は、ほとんどの場合、単に英語の読み書き、聞く話すの「スキル」のことだろう。「スキル」は「(熟練した)技術」のことだから、それ(=技術=英語力)を伸ばそうと思ったら、訓練をすればいい。つまり、英語力を伸ばすということは、訓練でスキルを向上させる、ということだ。それは例えば、ラグビーでパスの精度とスピードを上げるために、毎日毎日パスの練習を何回も何回もするのと同じ種類のことだし、例えば、料理人が包丁さばきを練習して早く正確に包丁を使えるようにするのとも、同じ種類のことだ。

でも、ラグビーのパスを練習するラグビープレーヤーや包丁さばきを練習する料理人と、英語力を伸ばしたいという留学生との間には、ひとつ大きな違いがある。

早くて正確なパスを出せるようになりたいと思っているラグビープレーヤーは、そんなパスができるようになればそれで満足するのではないし、どこかで早くて正確なパスだけを披露してすごいねと言われて終わりではない。その早くて正確なパスを試合で繰り出して、そして得点につなげて、そして試合に勝って初めて、自分のパスのスキルに満足する。料理人は、仲間の前で古いきゅうりを早く正確に切って「おおっ」とみんなに言われることが目的で、包丁さばきを練習しているのではない。新鮮な魚をさばいて、おいしい料理を作って、それをお客さんに出して、お客さんが喜んでくれて初めて満足するのだ。そして、試合に勝つという目的があるからこそ、お客さんが喜んでくれるという満足があるからこそ、ラグビープレーヤーや料理人は、それに必要なスキルを日々の訓練で向上させようと努力するのだ。

でも、英語力を伸ばしたいという留学生は、英語力を伸ばす、つまり技術を訓練によって向上させることだけを目的にしている場合が多いように思う。試合に勝つという目的が無かったり、お客さんが喜んでくれるという満足が無かったりするならば、パスも包丁さばきも、そのスキルがどんどん向上することは望めない。同じように、英語力というスキルを使って何を成し遂げたいのかが明確でないと、スキルの向上はなかなか望めないだろう。

だから、「どうしたら英語力は伸びますか?」という問いには、「英語力というスキルを使って何をしたいのかをまず明確にすること」というのが、最も有効な答えだと思う。英語力というスキルそのものばかりに目を向けるのではなく、そのスキルを使って何かを成し遂げている自分を想像することが大切だ。試合に勝つためにパスの精度とスピードを上げたり、お客さんに喜んでもらう料理を作るために包丁さばきを練習するのと同じように、英語を使って周囲の人々にプラスの影響を与えるために、英語力を伸ばすのだ。