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昨日のインターネットに出ていたニュースに、内閣府が公表した2013年度版「子ども・若者白書」によると、高校生の約半数が「携帯で1日2時間以上ネット」を使っている、というニュースがあった。

内閣府の「子ども・若者白書」は、「子ども・若者育成支援推進法」に基づく年次報告書として、平成22(2010)年から作成され、毎年、国会に報告されており、第1部は、子どもや若者の状況(各種統計資料などにより、子どもや若者の置かれた現状を紹介)、第2部は、子ども・若者育成支援施策の実施状況(子ども・若者育成支援推進法第8条に基づく大綱の構成に沿って施策の実施状況を紹介)の内容となっている。

そのニュースによると、自分の携帯電話を所有しているのは、小4~6年の24.1%、中学生の46.2%、高校生の97.6%。携帯経由の平日のネット利用時間は、小4~6年では30分未満が60.0%、中学生は1~2時間が一番多く(24.3%)、高校生は2時間以上が全体の45.5%、とのことだ。

つまり、高校生のほぼ全員が携帯電話を持っており、二人に一人は、毎日自分の携帯電話を2時間以上触ってインターネットに接続している、ということだ。高校生だから平日は7時間くらいは学校にいて、6時間くらいは寝ているだろうから、残りの11時間のうち2時間以上、言い換えれば自由な時間の2割くらいを携帯電話でのネット利用に使っている。調査では2時間以上、というくくりなので、ひょっとしたら3時間、4時間携帯電話でネットに接続している高校生もいるのかもしれない。

逆に言うと、高校生の二人に一人は、携帯電話でネットに接続するのは1日2時間以内なので、2時間を超えてネットを使っている高校生は多数派ではないとも言える。

また、高校生の携帯電話のネット利用におけるトラブルとして、「ネットにのめり込んで勉強できない」が15.6% とのことだ。

「勉強ができないほど、高校生が携帯でのネット利用にのめりこむなど、言語道断!」というご意見もあるだろう。私もつい先日このブログで、上を向いて歩こうというタイトルで、「ニュージーランドでは、特にロトルアでは、携帯電話を見たりいじったりしながら街を歩いている人をほとんど見かけない。ふと目を上げれば、豊かな自然が目に飛び込んでくるのに、下を向いて携帯電話を見ながら歩く気分になどならない。」と書いた。

ただ、高校生の97.6%が自分の携帯電話を持っている今の日本の状況で、しかも携帯電話で簡単にネットに接続できる環境であれば、つい使ってしまうのは当然だろう。私が日本の高校生だったら、きっとずっと使っている。

だったら、日本の高校生のほぼ全員が持っている、ネットに簡単に接続できる携帯電話を、どう使えばいいのかを教えてやるのが、大人がこれからやるべきことだろう。

そもそも、高校生が携帯電話でネットに接続して情報を得たり誰かとコミュニケーションを取ったりすること自体は、悪いことではない。大切なのは、いつどこで、ネットでどんな情報にアクセスして、どんな情報を取得し、どんな人とどのようなコミュニケーションを取るのか、ということだ。

ネット上でアクセスする情報によっては、勉強になるものもたくさんあるし、当然、英語力を伸ばすツールにもなる。考え方や感じ方にいい意味で影響を与える情報もあるだろうし、知識を増やすこともできるだろう。

だからまずは、どんな情報にアクセスしてどんな情報を取得するかを判断する力が、高校生には必要だろう。ネットでは、どうしても自分が興味のある情報にしかアクセスしない。

例えばリアルな街の本屋さんの中を歩いていて、全く自分が興味のない本が平積みされているのを手にとって読んで、面白そうだから買ってみる、とか、友達の友達と初めて会って、その人の話を聞いていい意味でショックを受ける、などという経験が、バーチャルなネットではなかなかできない。ネットでは、最初に検索をかけて、自分が探している情報にストレートにアクセスするし、自分が好きな人としかコミュニケーションをしなくても問題はない。

だからずっとネットの世界に入っていると、興味や知識や関係する人がどうしても偏ってくるし、広がらない。それをどうやって、ネットの中で広げていくのか。ネットの中にある大量の情報を、能動的にどう選択していくのか。そういうことを周囲の大人たちが教えてやることも大切だと思う。

もちろん、携帯電話を眺める視線をふと上げて、ニュージーランドの自然の中を上を向いて歩くことも、とても大切だ。

平成25年版 子ども・若者白書(全体版)